Blog『新宿通り・若旦那通信』

“新宿通りの若旦那”こと、新宿・甲州屋呉服店の志村郷親が、「着物」や「和文化」、日々の仕事のことなどについて語ります。

着物を嫌いにならないための良いお店の見分け方③

こんにちは!
“新宿通りの若旦那”こと、
甲州屋の志村郷親です。

先週もまたまた寒波が襲来しまして、東北地方や日本海側、北海道等の雪国では、特に厳しい降雪による被害も多く出ているようです。

東京では週間予報で雪マークがありましたが、何とか降雪は避けられました。

それでも寒さが厳しすぎて、朝晩の寝起きが辛い1週間でした。

天気予報的にはこれから少しずつ暖かくなるようなので、「春よ、早く来い!」と願うばかりです。

さて、先々週から2回に亘って、昨年末から今年にかけて沖縄県で起きた、いわゆる「ハレの日のトラブル」に関して触れさせていただいております。

二十歳の集いを巡る貸衣装トラブル 予期せぬ事態に巻き込まれた若者たちは門出の日をどのように迎えた|Yahoo!ニュース

第3回目となる今回は、

  • このようなトラブルが起きないための業界として取り組み
  • 1回目の投稿で私は敢えて憤りを隠さずに表現しましたが、なぜこのようなことを述べたか
  • 未来の着物産業の健全な発展と皆様が安心してご利用できるような環境づくりとは何か?

といったことを踏まえて、最後にこの件について総括しようと思います。

正直で確かな仕事をするお店の発信力強化と、お客様がお店を選別しやすい環境づくり

先週も申し上げましたが、正直で確かな仕事をするお店であればあるほど、発信力が弱いお店さんが多いという現状があります。

私なりに思いつく理由をお話しさせていただきますと、一つは、「言葉にしなくても、正直で確かなことは仕事で表現できるから、わざわざ言う必要はない」と考える方が多いのだと思います。

また、この業界はご多分に漏れず後継者不足で、お店を切り盛りしているのはご年配の方がほとんどなので、インターネットメディア等へのアクセスが苦手の方が多いのも原因の一つだと思います。

逆に、業界外から参入された方々は、インターネットはもちろんのこと、マーケティング全般にかけてかなり研究されているプロの方たちが多いので、お客様が吸い込まれるようにアクセスできる仕組みを作るのがとてもお上手で、お客様もつい目が行きがちな状況になっているのだと思います。

加えて、私共のような老舗系のお店は徐々に減ってきておりますので(というか、すでにかなり減っておりますが…)、振袖は、それこそ様々な業者さんがこれからも新規参入されるのだと思います。

このように、着物業界全般でいうと、中々良いお店を見つけて選ぶのも大変な時代になってきております。

私共甲州屋のように後継者がいるお店は、もっともっと勉強し、お客様にご安心してご利用いただけるように、またそういったお店を見つけてもらいやすいように、メディア環境を整えていく必要があると考えています。

なぜ、今回私が憤りを隠さずに表現したのか

以前にも、「はれのひ」の一件の時にお話しさせていただきましたが、今回のニュースを知って、まずは、「またか!」という怒りというか呆れというか、一体この手の人たちは何度やれば気が済むのかと。

一番迷惑なのは、当然、一生に一度のことと楽しみにしておられた被害に遭われたお客様です。

そして、残された真っ当な仕事をしている業界関係者にも甚大な迷惑をかけています。

これらのことについて、今回強い憤りを感じた次第です。

私共の業界の話で言えば、さんざん和装、着物の市場を食べ散らかされた上に、ネガティブなイメージだけを残して退場されて、われわれ業界関係者はそれを受け止めて、信用回復に努めながら日々真っ当に営業をしています。

これはどの業界にもあてはまるかもしれませんが、人に会うたびに、「この間、着物業界で事件があったよね?」と聞かれるのは、良い気分ではないわけで…

しかも多くが、ハレの日である成人式を舞台にした事件です。

今回も、納品されなかった分は他の業者さんが協力して衣装を用意されたようですが、同じことは、数年前の「はれのひ」事件の時もありました。

そのときも、私の知っているお店さんや仲間が皆で協力して、時間のない中、衣装を用意し、当日着付けの方々も協力し、何とか一人でも多くの被害に遭われたお客様を救おうと頑張っておられました。

協力したお店にとって、メリットはないにもかかわらずです。
(業界のネガティブイメージを最小限に食い止めるという意味では全くないとは言えませんが…)

ただ、被害に遭われた方を助けたいという一心で、当日が台無しにならないために動いたのです。

迷惑をかけた業者がしたことというのは、そういうことなのです。

最後に

ということで、3回に亘り、特にこれから来年以降の成人式等を控えていらっしゃるお客様、ご家族様に向けて、このようなトラブルになるべく遭わないように注意喚起の意味を込めて、少し時期のズレた2月に取り上げさせていただきました。

今回は成人式の振袖関連のトラブルでしたが、以前には、「展示会商法」と言いまして、あまり褒められたものじゃない業者さんが、着付け教室や習い事のお教室といった触れ込みでお客様を展示会場に来場させて強引に販売するというトラブルもありました。

何か買わないと帰れないような心理的な状況に追い込みつつ、ローンを組ませて強引にお買い物をさせたり、値札の表示価格を高めに設定して、その表示価格から値引き販売して相場観を混乱させたりするものです。

今挙げたようなことは、実際にその後問題となり、着物用のショッピングローンは審査が厳しくなって、ローンが使えなくなるケースも増えたりしています。

調査機関の資料を見ると、「価格が不透明」、「無理やり買わされそうになった」などといった消費者意識調査の結果が出るという過去がありました。

今も元気に営業されているお店さんや教室さんはほとんどそういったトラブルはないと思いますが、今回のような目立つ事件が起こると、この業界に対するネガティブなイメージが独り歩きしがちです。

いうことで、今回、3回に亘ってお伝えしたことを踏まえて(お伝えしきれていない部分もたくさんありますが…)、お店選びをしていただければと思います。

私共甲州屋は、目の前のお客様のご要望にお応えできるよう全力でサポートしつつ、それ以前の話として、正直で確かな仕事をするお店が見つけられやすいように情報発信をし続けたいと思います。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

今回で2月の投稿は最後になりますが、3月はまた月も変わりますので、違ったテーマでお話しできればと思います。

次回もよろしくお願いします!

なお、当店では、お客様お一組お一組にごゆっくりお買い物を楽しんでいただくため、ご来店の際はご予約されることを推奨させていただいております。

ご予約はお電話またはメールにて承りますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

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