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牛首紬(うしくびつむぎ)の歴史的背景、製法の特徴、作業工程、現在の様子などの話

大正12年創業、新宿・甲州屋呉服店の三代目社長 志村 賢三(シムラ ケンゾウ)です。

今回のコラムでは、牛首紬(うしくびつむぎ)の歴史的背景、製法の特徴、作業工程、現在の様子などを解説いたします。

 

1. 牛首紬(うしくびつむぎ)の歴史的背景

もとより「住古ヨリ、養蚕、製糸ヲ以ッテ、本業トシ農業コレ徒タリ」と古文書に記録されているように、歴史的に養蚕機織りで生計が立てられていた土地柄で、今から800年前に白山の麓、石川県の白峰村(旧牛首村)にて古くから織り紡がれてきたもの、その原型が発祥とされています。

昭和32年頃、ダム建設のため集落がダムの底に沈んでしまうことになり、地元の建設会社である西山産業が一念発起。

材を投げ打って、集落の設備を現在の白峰村に移転し、「石川県指定無形文化財」として牛首紬の技術保全に成功。

牛首紬の伝統的技法を徹底してひもとき、産業として復興をとげました。

その後、西山産業の繊維部として事業基盤を確立し、現在に至ります。

 

2. 製法の特徴

特徴1

緯糸に玉まゆから採った玉糸を手技で引いてゆく。

糸口を手さぐりでまとめ、七本の糸を一本にして引いていく。

熱湯の中の作業のため、この段階からすでに熟練を要する。
(まゆを煮る → 糸を引く)

特徴2

引いた糸を座繰りで巻きとっていく。

手引きのため、素材そのものの特徴がそのまま糸に生きてくる。

伸縮性に富み、張りがあり、極めて丈夫である。

最強の織物と言われる所以である。

「生地にクギを打ちつけて生地を引っ張るとクギが抜けてしまう」と言い伝えられている。

特徴3

高機(たかはた)の織機で織っていく。

経糸には通常のまゆから採った糸を使用する。

丁寧な作業で筬通しし、経糸を整経していく。

熟練の職人の手織りで織り上げる。

緯糸の打ち込みには「杼(ひ)」を用いる。

そのさい、糸に空気を含ませながら織っていく。(糸はたき作業)

※現在の作品は白生地に仕上げて後染めしたものが多い。

特徴4

牛首の生地は染料の染み込みが早いため、染めが至難の業である。
(極めて染めムラが出やすい。)

大変な試行錯誤の末、地元の染め屋が研究を重ねた結果、ムラなく染められる技術を確立した。

 

3. 作業工程

牛首紬が出来るまでの工程は、20項目にもおよびます。

そのひとつひとつの作業工程は、全国的にも類のない一貫作業で行われており、伝統的に育まれた手仕事の技が生かされています。

選繭(まゆより)

牛首紬の品質を確保するための重要な関門となる。

煮繭(まゆにい)

製糸(のべびき)

糸を引き出す際に、糸の太さを一定にするため、引き延ばさ ないなど、細心の技術を要する。

枠あげ

がらかせ乾燥

糸選別区分

よしかけ

かせあげ

精練(かせわり)

牛首紬特有の強力な糸をつくるため、蚕の糸質であるパーマネント状のうねりを取り戻し、120匹分の糸の配列を整え、「生きた糸」をつくるための作業。

糸はたき(くしゃしる)

乾燥

経糸のりつけ

かせくり

整経(はたへ)

1100~1200本の経糸を1反の長さ14mに揃える。

そのまま糸の張力をそこなわずに織巾に均等に揃え、あわせて巻き棒に巻きとる作業。

綜絖(へさし)

筬(おさ)とおし

機がけ

緯糸くだまき

機おり

織は緯糸が入るごとに目を通し、むら糸の部分は取り除きながら織り上げる。
うわそとしたそで、つつみ込むようにして織っていく。

仕上げ検査

部外検査

 

4. 牛首紬の今

染下生地としての白生地は、「西山産業」(工房名=白山工房)で主に製作し、染め元に出荷しています。

鰹縞などの先染織物は「加藤機業場」でも製作しています。

上記2社で年間限られた反数を生産し、訪問着、ぼかし紬、付下げ、小紋、袋帯などの作品を生み出しています。

特に1の工程の玉糸を引いていく作業が困難で、高齢技術者のみがたずさわっているため、後継者の養成を全工程通じて進めていくことが課題となっています。

大島紬、結城紬と並んで日本三大紬の一つですが、その中で最も生産量が少なく、希少な織物となっています。

着物の用途としては、織物でありながら、後染めの訪問着などの作品もあり、パーティーやおよばれ等、セミフォーマルな形で着用することも出来ます。
(その際、帯合わせを吟味する必要があります。)

玉まゆ、通常のまゆを合わせて4000個を使用して織り上げるため、重目だが着用すると軽く感じます。
(結城紬はまゆ2500個使用)

しっかり織り上げてあるので、現在の牛首紬の生地の厚みはさほどではありません。
(ただし、反物のボリュームは相当のものといえます。)

 

5. あとがき

牛首紬は、着る人と創る人が一緒になって考えてきた長い歴史のなかで築き上げた本物の紬織です。

そこには、各時代の人々の幅広い視野と、道理に叶った精微な計算の結果が集約されています。

いつの時代も変わることなく受け継がれてきた数々の工程は、牛首紬の生命線であり、独特の特徴はこの中から生まれてくるのです。

 

6. 新宿・甲州屋呉服店について

 

当店甲州屋呉服店は、大正12年、新宿の地で創業しました。

和服好きの方や、着物のことでお困りの方に、“老舗の知恵” と “最適な(時には斬新な)方法” で、販売のみならず、お手入れ、着付け、レンタル、お預り等、あらゆる方法の中からピッタリなご提案をしています。

当店にて牛首紬の着物を取り扱っておりますので、ぜひお気軽にお越しくださいませ。



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